2014年12月31日水曜日

ゲノム人類学とは

ヒトとはどんな生物なのかを明らかにする


ヒトゲノム計画のドラフト発表(2001年)以来、膨大なゲノム情報が世界中の様々な民族集団において蓄積されてきています。その背景には、ゲノム多様性の情報が医学・創薬への応用が、パーソナル医療を含む医療革命につながるという期待があります。

私達がゲノム情報を手にした瞬間から、私達には進化の視点を持ち込まないわけにはいかない状況が生じました。何故ならゲノム(遺伝情報の総体)は、地球上の生命35億年の時の流れの中で作り上げられてきたものなので、そこに書き込まれている情報を正確に読み解くには進化の視点が不可欠だからです。この発想は日本ではあまり馴染みのないものですが、欧米ではこの発想の重要性が10年くらい前から強く指摘されてきています。

ヒトの進化や多様性について研究する自然人類学 / Physical anthropologyは、もともと18世紀に比較解剖学から派生した学問です。私達は、ここ北里大学医学部解剖学研究室においてゲノム情報と200年以上の歴史がある自然人類学の知見を融合により新分野『ゲノム人類学』を構築しようとしています。

21世紀は「生命科学の世紀」とも言われています。『ゲノム人類学』は「ヒトとはどんな生物か?」という根源的な問いに挑戦し、さらに21世紀の医療であるパーソナル医療の安全かつ自然な発展に役立つ学問を目指します。